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《キキョウの言葉》
「あなたにとって私はどんな存在ですか？」
彼女は細い声でうっすら涙を浮かべて口にした
「大切な大事な人。誰よりも近くに居たいと思える存在だよ」
私の言える精一杯を口にした。
いつも明るく、滅多に泣くことの無い彼女が
涙なんか浮かべて問いかけてきたからだ。
そして、彼女は俯いて口にした
「そう……。それはあなたにとって便利だから？」
「違う、そんなんじゃない！」
私は声を荒らげた。
一緒にいて楽しいから、嬉しいから、心地いいから、言い方ならたくさんあった、
その中から1番の言葉を選んだつもりだった
「私はあなたの何？」
彼女は細い声で聞いてくる
私は必死に大切な存在だと言う事を訴えた。
「どうして私を見てくれないの？」
彼女の一言に目が覚めた。
立ち上がり身支度を始めた。
彼女が好きだと言っていたワイシャツと、
プレゼントしてくれたネクタイを付けて、
久しぶりのスーツで車を走らせた。
途中の花屋で生ける花と、彼女の好きな花を買った。
「随分待たせてしまった。ごめん。これで許してくれるかな。また会いに来るよ。」
彼女にあったのは6月。
彼女が死んだのは9月。
彼女の好きな花はキキョウ。
彼女はキキョウ。
きっと彼女はこう言って欲しかったのだろう
「永遠に愛している」と。
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