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3人台本です。
とある王国のお話です。
緊迫感、シリアスな感じが多めですが、感情の入れ方で雰囲気は色々変わると思います。
〔所要時間/約15分~20分〕
(間のとり方で伸び縮みしますので、所要時間は参考です。)
〔配役〕3人~
主《イル》王国第二国王。王子。
双子の兄。
《イナ》双子の妹。王国女王。
《父上》国王。イル、イナの父親。
妻はイル、イナが生まれてすぐ亡く
なったため、イル、イナは存在を知
らない。
《その他》/《イル幼》《イナ幼》⇒イル、イナ
の幼少期(幼い感じ)
《少年》イルの息子
『()-』の時は、ナレーション
《秘書官》⇒「イナ役」
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《イナ幼》「あっ!イル!!ねぇこれどう?!自信作なの!!」
《イル幼》「イナか……びっくりしたなぁ、何?どれ?」
《イナ幼》「これ!これ!ちょっと異国感を意識してみたんだぁ!」
《イル幼》「あぁ、そうだね、イナの言葉の感性にはいつも惚れぼれするよ。いいんじゃないかな!」
《イナ幼》「っ!やったぁ!!私ね!いつか色んな国の書き物を読んで、いろんな表し方で詩を書くのが夢なの!」
《イル幼》「うん!イナならどんな詩でも書けるさ、応援する!」
《イナ幼》「ありがと!イル!また出来たら一番に読んでね!」
[イル]-性別以外は全く一緒の双子。僕も、イナも、本を読み、字を書き、詩を書いた。
いつも一緒。幸せな子供の頃。
でも、不幸は唐突に訪れた。
《父上》「イル、イナ、いいか、よく聞け。王族としての運命(さだめ)をかす。イル、お前はこの国の統べる者として、民を守れ、イナ、お前は、隣国の妃になれ。」
《イナ》「…え?…私は、国を出なくては行けないのですか?」
《父上》「あぁ……。そうだ…。」
《イル》「お待ちください!父上、前と話しが違うではありませんか!」
《父上》「……決まった事だ…。もう話は終わりだ……部屋へ戻れ。」
《イル》「ですが!!……父上!…。」
《父上》「イル……言いたい事は分かる。だが…分かってくれ……。」
《イル》「父上……。」
《イナ》「……私は…私は詩は書けますか?……」
《イル》「イナ……。父上っ!イナは詩の才能があります。せめて、せめて詩は、取らないでください…。」
《父上》「イナの詩の才能は知っている。才能まで奪い取ったりはしないさ」
《イナ》「……あ…ありがとう…ございます……。」
《父上》「……さぁ、夜も遅い。早く休むように。」
[イル]-十七の僕等に突きつけられた運命(さだめ)は、双子の僕等を引き裂くものだった。
十八で成人を迎えるこの国では、王子は、第二国王として、国王と共に国を守るのだと、教えられてきた。
《イナ》「ねぇ、イル……。私…本当に詩を書き続けられと思う?」
《イル》「父上がそう言ったろ?……大丈夫さ。」
《イナ》「イルと一緒にいるものだと思ってたから…すごく……びっくりして……。」
《イル》「イナ……僕がなんとかする。双子なんだ、男と女ってなだけで引き裂かれてたまるか。」
《イナ》「……うん。」
[イル]-生まれて直ぐに母上を無くし、忙しい父上、僕達は、どんな時もいつも一緒だ。
不安を抱えたまま、静かに眠った。
《イナ》「我が国王!!そして、第二国王!イル王子!!」
《父上》「我が王国の若き第二国王と共に、民の平和を約束しよう!」
《イル》「我が王国の国王と共に、民の平和を築こう!」
[イナ]-第二国王の即位の儀は、国じゅうをわかせた。
《父上》「イナ……イル……二人の仲を引き裂くようになってしまったこと、申し訳なく思う。」
《イナ》「いえ、大丈夫です。」
《イル》「……唐突ですが、妃として国を出るのではなく、向かい入れることは出来ないのでしょうか。」
《父上》「あぁ…それも、出来なくは無いのだが…」
《イル》「そちらにすべきと申します、第二国王、女王が残るのは、この国の定めでもあります。」
《父上》「わかった、どうにかしてみよう。イルと、イナは二人でいる方が良いからな。」
《イナ》「!っありがとうございます!」
《イル》「父上!ありがとうございます!」
(イル)-それから数日後。
隣国との対談をして、イナは国を出るのではなく、隣国の者を我が国に向かい入れる、と、話はまとまった。
《イナ》「!やめて!!本を返して!やめて!やめて!!返して!」
(父上)-イナの悲鳴が城中に轟いた。
そして、駆けつけたイルの前には、無残にも荒らされたイナの部屋、血まみれに座り込んだイナの姿があった
《イル》「イナ!どうした!…っ?これは……イナ!大丈夫か!?…イナ!!」
《イナ》「……っイル……っゴホっ」
《イル》「イナ!……何があったんだ!イナ!おい!…しっかりしろ!」
《イナ》「…イル……全部持ってかれちゃった……本も……詩も……全部……なんで…っなんで……。うわぁぁぁぁぁぁあ!……っ?!ゴホっ!」
《イル》「イナ!!しっかりしろ!」
(父上)-イナは泣き崩れた後、血を吐いて倒れた。
イナを襲ったのは隣国だと調べてわかった。
(イル)-父上の裁きで何とかなったものの、イナはとてつもない大きな傷をおった。
《イナ》「…………っ…イル?……」
《イル》「!っイナ!よかった……」
《イナ》「……イル…本は?詩は…どうなったの?……」
《イル》「……隣国が持って行ったとはわかった、どこにあるかは今探してる。大丈夫だ。絶対に取り戻すからな!」
《イナ》「うん……ありがとう…。」
(イル)-それから数日、何日経ってもイナは詩を書かなかった。
歩ける様になっても、詩を書くことはなかった。
イナの部屋から、隣国の書物が少しずつ減って行った。
《イル》「イナー!ちょっと書類を手伝ってほしいんだけど……あれ?イナ?……。なぁ!イナー?……どこいったんだろう」
《父上》「イル!イナが!はやく来い!」
(イル)-嫌な胸騒ぎがした。父上の後を追って走った。
《イル》「?!…イナ?!……イナ!何してんだ!!イナ!!」
《父上》「イナ!……?!イナ…その本は……」
《イル》「イナ!!何をするつもりだ!早く部屋に持って行こう!」
《イナ》「……イル…父上……取り戻したんです……持っていかれた物全て…。イル…ごめんね。部屋には持っていかない。」
《イル》「…っ大事なんだろ?!……なんで……」
《父上》「全て燃やす……。ここは草木、水のない枯れ井戸だが、そんな勝手なマネ考えてなかろうな!」
《イナ》「分かってます!……勝手なマネだって……でも…もう。こうしないと気が済まない!!」
(イル)-イナは手に持っていた松明を本の山に向かって投げつけた。
父上は部隊を集めに城の方へ向かった。
《イル》「イナ!!……なんでだよ…イナ……ゆってたろ?…色んな詩を書くって……なんでそんなこと……」
《イナ》「…もう書けないの……浮かんでも、浮かんでも……イル…あのね……っ。詩を書こうとすると手が震えて……書けないの……っ」
《イル》「?!っ」
(イル)-イナの言葉を聞いて頭が真っ白になった。
《イナ》「仕事の書類は出来ても……詩を書こうとすると手が動かなくなる……書けない詩が浮かぶのが……苦しかったの……」
《イル》「イナ……なんで、早くゆってくれなかったんだ……そんな……なんで……」
《イナ》「…辛かった……詩を読んでくれて……応援してくれるイルに伝えるのが……怖かったの……」
《イル》「イナ……」
《イナ》「イル……さよならだね……私の…心の弱さを……許して……っ」
《イル》「イナ!!やめろ!!!」
(父上)-イナは隠し持っていた小刀で自分の胸を突いた。
《イル》「イナ!!イナ!!……っなんてことしてんだよ!!……イナ!!っなんで……どうして……っ!」
(父上)-イナの手のひらに小さな紙切れがあった。
《イル》「っ……イナ……っ?!これ、子供の時の……詩?…っ」
(イナ幼)-「神々しい月明かり、薄明るい光はいつもと違って不思議な感覚。
重く、吸い込まれてしまいそうな暗黒の空
その夜は、とても星がキレイだった。」
《イル》「イナ……っうわぁぁぁぁぁぁあ!」
☆(イル)-それから、月日が流れ、僕は国王につき、子供ができ、国は平和な日々を送っている。
《少年》「父上!みて!星がとてもキレイです!」
《イル》「あぁ、…そうだな……あの日と変わらず、キレイな星だな…」
《少年》「?あの日ですか……なんのことですか?父上?」
《イル》「あぁ、お前は知らないか、まぁ、もう少し大きくなったらな。」
《少年》「はい!楽しみにしてます!あっ!秘書官さん!」
《秘書官》「王子、あんまりはしゃいじゃダメですよ?
星がキレイな夜ですね。国王陛下。」
《イル》「おう、なぁ…あの日も、こんな夜だったよな……秘書官…いや。…イナ。」