町田の台本を手に取って頂きありがとうございます。
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〔配役〕2人~
主《キール》男
《キール幼》幼少期
《リラ》女(妹)
《軍兵》⇒セリフ極小
《ノア》⇒過去編にセリフあり
《幼》→幼少期
()-⇒ナレーション()の中の名前の配役が読む
所要時間[20分~]
この台本は、前作、「noa(ノア)」の続編。
ノアが眠っていた空白の5年の物語です。
「noa」⇒「kiel」⇒「rira」の順でお読みいただけると話が繋がるかと思います。
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《キール》「…ノア!!やめろ!!…よせ!!!」
(キール)-ノアが大魔術を使った。
大魔術の反動。ノアの体が無数のキズで裂けていく。
《キール》「早く医療部隊へ!!すぐに治療を始めろ!!ノア!!死ぬな!っ」
《リラ》「キールさん?!何があったんです!!」
《キール》「リラ…ノアが。…ノアが無理矢理大魔術を……っ!」
《リラ》「兄さん!!落ち着いてください!きっと…大丈夫ですから!」
《キール》「…なんで…いつもノアばっかりキズつかなきゃいけないんだ……っくそ!!俺は……どうして……」
(キール)-ノアは大魔術の代償で大きなケガをした。
とても人間一人が自力で治せるものではなかった。
《リラ》「兄さん……ノアさんのケガを治す方法が分かったよ。」
《キール》「リラ!!本当か!なら今のすぐにでも!」
《リラ》「それには。ケガを移す器が必要なんです……。ノアさんのケガを丸ごと受ける人間が……。」
《キール》「それぐらい俺がやるさ、ケガぐらいどうってこと……」
《リラ》「ノアさんのケガは!……。ノアさんのケガは、普通のケガの何倍のケガです…。
そこには、魔力キズもあります。」
《キール》「ノアを助ける為なら、俺はなんでもするさ」
《リラ》「ノアさんの魔力キズは、他の魔力キズの何千倍はあります。普通なら四肢は千切れて……。今のこうして普通の体でベッドの上にいることが奇跡なんです!!
もし、兄さん…キールさんがケガを受けて、命がどうなるか分からないんですよ?!」
《キール》「っ……リラの言う事は良くわかる。…でも…俺は何よりもノアが大事だ。
そして、この国にとっても…ノアを死なす訳にはいかない。」
《リラ》「どんなに早めても、あと4年半は待たなくてはいけません。」
《キール》「?!なんでそんなに……今すぐにでも始めよう!」
《リラ》「…この方法…負傷転送は、ケガをした本人の体力も心配されます。
それに、魔力キズ。魔力キズの魔力を時間をかけて消さないと出来ません。」
《キール》「…魔力キズは移せない…って事か……。」
《リラ》「そうです…。ノアさんの魔力キズは他と比べ物にならない……。」
《キール》「……魔力が消えるまでの約4年半…ノアは……」
《リラ》「……眠り続けます…。成長はしますが…ケガを移したらキズを負った時の年齢になってしまいます。」
《キール》「…約4年半……それまで負ける訳にいかないな…リラ。4年半の間ノアの事を頼む…。」
《リラ》「……はい。分かりました…。」
《軍兵》「失礼します。キール隊長!東の軍に動きがとの連絡が。」
《キール》「情報を集めろ。すぐに対策を練る。」
《軍兵》「承知致しました。失礼します。」
《リラ》「また…戦争…ですか…中央国のこの国には敵に囲まれている……。」
《キール》「北、西、そして、東か。東とは戦いたくないがな…命令だからな。戦うしかあるまい。」
《リラ》「キールさん……いや、兄さん…無理はしないでください…。ノアさんが待ってますから……。」
《キール》「あぁ…そうだな……リラ。お前には心配ばかりかけるな。」
(リラ)-キールさんは私の頭を撫でたあと、眠るノアさんの元へ歩み寄った。
《キール》「…ノア…聞こえるか?……。俺は何よりもお前を愛している……。絶対に助けるからな…。
…本当は、起きてる時に、言いたかったけどな…とりあえずの覚悟表明って事で。許せ……ノア。」
(リラ)-手を握り、じっとノアさんの顔を見つめる兄さんは、凛としていて、でもどこか哀しかった。
手の甲に軽い口付けをして、部屋を後にする兄さんは、今までになり重い空気を纏っていた。
《リラ》「っ兄さん!!帰ってきてね…ノアさんの為にも…私も待ってるから……。」
《キール》「あぁ……絶対に帰ってくる。」
(リラ)-半年たたないうちに、東との戦争に出ていった。
長い長い戦争は、2年間続き、東の敗北宣言により、戦争は消失。
それから、東との同盟を組み、1年、2年とあっとゆう間に過ぎていった。
《ノア幼》「キール!!キール!!ってば!稽古始まっちゃうよ?」
《キール幼》「分かってるよ!今行こうとしたとこ!」
《ノア幼》「このままじゃ、キールに負けちゃうよ…もっと勉強しないと!」
《キール幼》「ノアには魔術があるじゃないか!僕は剣、ノアは魔力!最強のパートナーだ!」
《ノア幼》「うん!!いつか国の為になる様に頑張ろう!」
《キール》「何?!ノア……何言ってんだよ……お前は……」
《ノア》「私……いや、僕は戦士だ、魔力は盾だ、キールと一緒に剣を持つよ。」
《キール》「駄目だ!ノアは女だろ!……そんなの…いくら軍の数が足らないからって……絶対に駄目だ!!」
《ノア》「……こうしたらいいよね。」
《キール》「ノア……何して……」
(キール)-ノアは軍の数が足らないのをしり、戦士になるため、長くて綺麗な髪を切った。
……目を閉じるだけで蘇る記憶。
《キール》「リラ。出来そうか?」
《リラ》「はい、ノアさんの魔力キズも小さくなりました。ノアさんの体力面は鎖を通して私が入ります。」
《キール》「リラ…ありがとうな。ただ、無理はするなよ。」
《リラ》「分かってますよ。兄さんこそ無理はしないでくださいね。
ノアさん……髪が伸びて、子供の、戦士になる前の様ですね……。」
《キール》「あぁ……綺麗だな……。」
(リラ)-静かに眠るノアさんの髪に触れて、手を握っているキールさん…兄は、幸せそうに哀しんだ。
《キール》「…リラ、始めよう。ノアを待たせちゃ行けないからな。」
《リラ》「はい。そうですね。……始めましょう。」
(キール)-……俺はノアの為に戦士になる事を選んだ。
子供の頃から大好きで、愛していたんだ。
守りたかった。
もう、こんなマネはさせない。
《リラ》「キールさん!!兄さん!!兄さん!!」
《キール》「…あぁ……リラ…」
《リラ》「…良かった…予定より時間がかかって……本当に…良かった…」
《キール》「…ノアは……」
《リラ》「…ケガは兄さんに全て移しました
…その代償としてノアさんはあの日の年齢に巻き戻りました…。」
《キール》「ノア……元気そうで何よりだ。……リラ…ノアにはこのことは伏せといてくれないか……。」
《リラ》「……分かりました…。」
《軍兵》「失礼します。隊長。南の軍が動きました。すでに交戦中とのことです。
馬の用意は出来ています。外でお待ちしております。」
《キール》「わかった。すぐに出よう……っ」
《リラ》「っ!兄さん!!キズが思ったよりも深い……少なからず魔力キズも移してるの…無理はしないでっ…」
《キール》「あぁ。このぐらい大丈夫さ……リラ…ノアを頼んだぞ……。」
《リラ》「っ…帰ってきて……待ってるから…絶対に…帰ってきてね。」
《キール》「そのつもりだ。すぐに戻る。」
(リラ)-キズだらけの体を隠すように軍服を着る姿は、いつもより重く感じた。
《キール》「ノア……こんなことになってすまない。次で全て終わらせる。
……愛している…ノア…。」
(リラ)-兄さんは戦争に出ていった。
5年の眠りから覚めたノアさんとまともに会話も出来ないまま。
私は、ノアを兄さんの後を追わせる事しか出来なかった。
ノアさんに繋がれた鎖は、私の体力を移す為のもの。目覚めたノアさんには必要ないものだった。
そして、世界は戦いを終えた。
(キール)-戦争時代は終わりを告げ、中央国のこの国は、北、南、西、東の国をまとめて行く。
争いのない、平和な日々が訪れた。
(リラ)-しばらくして、女神と呼ばれた戦士と、英雄は、この国を守り、導く者として、世界を愛し、国民に愛される存在になっていく。
そして、新しい女神と英雄へと命を、物語を紡(つむ)いでいく。