町田のフリー台本/簪夜帳

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『朗読まとめ』

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⑴「煙草と金と不純」

〔服を捨てた

少ない服と、少ない荷物だけ。

身軽になりたいと思っていたんだ、

きっと。

 

硝子のテーブルに

有り金を詰めた財布と、

数本の煙草とライターがひとつ

ケータイが鳴って、

知らない部屋の天井を

抱き締めた背中の向こうに見る

 

穢れた不純な恋人ごっこの話。〕

 

 

⑵「K--L」

〔大嫌いだった。

その香りも、味も。大嫌いだった。

火の先から煙立つ煙草

貴方はいつも違う銘柄を選ぶ

心変わり癖は最後には一途だった。

隣で嗅いだ香りは体に記憶に染み付いていた。

今その香りと一緒に毎朝を迎えている。

愛しい人の愛しい香り。〕

 

⑶「唄(うた)」

〔覚えて居るかい。

そこに僕がいた事を。


思い出せるかい。

あの時の声を。


楽しかったな。

今じゃそれは味わえないそう思うと

羨ましくなる。


もう一度戻りたい。

そう願ってしまう僕は弱いだろうか。〕

 

 

⑷「軽く」

〔色んな物を背負っている

それは誰でも背負うものかもしれない

色々な事がある世の中で正解を探す

正解なんてない答えはひとつでは無いと

それに気づけていたら、そう思ってしまう

 

色んな物を背負っている

煩わしい荷物が詰め込まれたリュック

誰かの為の荷物なんて要らない

必要な物だけ。

それは最低限でいい。〕

 

⑸「息」

〔冬のある日。

雪がちらちらと舞っていた日があった

しんしんと積もると言う人も居た

息をするだけで白くなるくらい

頬(ホホ)に刺さる様に冷えた空気が辺りを満たす

息を見る事ができる冬が、私は好きだ。〕

 

⑹「眠る」

〔眠る、眠る。私は眠る。

ふわふわのふかふかな寝具が包む。

潜り込めばじんわりと暖かい。

私は落ちる。落ちる。落ちていく。〕