町田のフリー台本/簪夜帳

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四季折々春に咲く。(声劇)2人

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今回は、ダブル主人公。

男の子と男の子の物語です。

2人台本です。

 

 

[所要時間]15分~20分ほど

[配役]

主、日向 ハル(ひなた ハル):男

・明るく優しい男の子。

・体格は小柄

 

主、日向 サク(ひなた サク):男(セリフ多め)

・少し影のある男の子

・体格は長身

 

()-「」⇒ナレーションだが、セリフ。

()の中の名前の配役で読む。

 

普通のセリフには、『』←このかっこで、

ナレーションには、「」←このカッコです。

 

ナレーションもセリフとして読んでください。

かっこのついていない場合は、普通のナレーションです。

 

 

※この作品はフィクションです。

 

タイトル⇒《四季折々春に咲く。》

どうぞ命を吹き込んでください。

 

 

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(サク)『四季折々春に咲く。この国は、四季を巡り、一年が過ぎる。』

(ハル)『花が咲き、日向が心地よい春が来る。』

(サク)『桜がひらひら揺れる。緑色の木々に蝉が繁く(しげく)』

(ハル)『葉が舞散って、色づく木々と枝に雪。』

(サク)『これは、俺の……。』

(ハル)『ぼくの……。』

 

 

(サク)『…あっつ……本当に夏って暑いよなぁ……。蝉はあちこちで鳴いてばかりで、ちょっと暑苦しいよな……。』

(サク)-「今年も変わらずに四季を巡っている。

自分が何をしたいかも分からないまま。

一年が過ぎる。」

(サク)『えっと、自販機、自販機…。どれにしようかな…スポドリ…売り切れか。まぁいいか、これで。』

(サク)-「暑い日はどうしても売り切れがちの自販機。甘ったるいミルクティを飲みながら、日陰のホームで電車を待つ。」

(サク)『夕方…少し涼しくなってきたな…。また、何も無いまま、一つ季節が終わって行くんだな…。』

(サク)-「一つの季節が過ぎて、夏から秋へ、冬になるにはあっとゆう間だ。

紅く染まる紅葉を横目に、イチョウの木々の下を歩いて、気づけば枝に雪が降る。そんな季節だった。」

 

(サク)『……桜が咲いてる…もうそんな季節なんだな……。』

 

 

(ハル)『…春がきたら、お兄ちゃんに会えるかな。』

(ハル)-「夏は枝の葉が木陰を作って、幹(みき)で蝉が鳴く。

生き物達が寒さに向けて、命を繋いでいく。」

(ハル)『凄い雨だ!…でも、すぐに居なくなる。夏はお天道様が百面相だね。』

(ハル)-「大きな雲を伸ばしながら、空は高く、…高くなって行く。

気づくと高い雲は背を低くして、緑の葉が紅く染まる。

紅葉は山を染め、イチョウは道を染める。」

(ハル)『…わぁ!雪だあ!枝が重たい感じ。でも、風の音も、全てが静かで、空気が澄んでいる。月が近く感じるのは、光が強いからかな?』

(ハル)-「鐘の音が響いたらもうすぐ春が来る。

また、季節が巡る。

生き物は始まりと終わりを繰り返して、人々は出会いと別れを繰り返していく。」

 

 

(サク)『…やっぱりここの桜はいつも綺麗だなぁ…日向桜(ひなたざくら)…日向神社御神体だから呼ばれてる桜。…ここはほんとに心地いいな。』

(サク)-「久しぶりに来たハズだった。でも、凄く懐かしくて、心地よかった。」

(ハル)『キレイでしょ?!ここの桜!』

(サク)-小さな子供のような声がした。

(サク)『あぁ。キレイだね……。所で君は?どこから来たの?』

(ハル)『ぼくはハル!この神社の者さ!』

(サク)『神社の近所の子?かな?一人で来たのかい?』

(ハル)『そうだよ!ここは特等席だからね!君の名前は?なんてゆうの?』

(サク)『日向サクだよ。』

(ハル)『サクだね!ぼくの事はハルって呼んでね!』

(サク)『君は、ハルくんの上の名前は…って、さすがに言えないよね。』

(ハル)『上の名前は言えないね、まだ。』

(サク)-「まだ、と言う言葉に引っかかりつつも、ハルと言う男の子と桜を見ていた。」

 

(ハル)『ねぇ、サク…。サクは、四季の中でどの季節が好き?』

(サク)『えっと…春は嫌いじゃないけど、すぐに夏になって暑いし、秋とか冬が好きかな。』

(ハル)『……そっかぁ。ハルはね、やっぱり春が好き!名前だからって言うのもあるけど、

なんか、色々な所で新しい事がおきて、楽しいよね!』

(サク)『新生活ってのも春だし、出会いと別れも春だよなぁ。』

(ハル)『そうそう!あ!もう夕方だ。楽しい時間はあっとゆう間だね。』

(サク)『そろそろ帰るか。それじゃあ、寄り道しないで帰るんだぞ。』

(ハル)『はーい!サクも気をつけてね!またね!』

(サク)-「不思議だった。弟の様な、初めての気がしなかった。

ハル。聞き覚えのある季節の名前。」

 

 

(サク)『おーい!ハルー!今日は居ない…か。』

(ハル)『ここだよー!こっちこっちー!』

(サク)『こっちって…ハルー!…ん?あっ!ハル!』

(ハル)『ここ凄いでしょー!湧き水なんだよ!』

(サク)『湧き水の池?か、凄いな、水…こんなに透き通ってる…』

(ハル)『サクって、キレイなモノ好き?』

(サク)『まぁ…相当ひねくれてなければキレイなモノが嫌いな人は居ないと思うよ?』

(ハル)『それもそうだね!ぼくね、サクは春が好きなんだろうなぁ…って思ったんだ!』

(サク)『…まぁ、嫌いじゃないよ?あ、これ桜餅、食べる?』

(ハル)『うわぁ!食べる!食べる!お花見だぁ!!』

(サク)-「ハルは目を輝かせて、桜餅を食べている。

たまに桜を見る目が、凛としていて、桜と、その横顔を美しいと思った。」

(ハル)『サク?おーい?サクの分も食べちゃうよー?』

(サク)『…ん?あぁ。いいよ、まだ家にたくさんあるから、また持ってくるよ。』

(ハル)『本当に?!やったぁ!!お花見楽しいね!サク!』

(サク)『あぁ、楽しいな。ハル。』

(サク)-「神社の静けさに、春の風が流れていた。懐かしい香りと、心地よいハルの声が、じっくりと流れている。」

(ハル)『サク!サク!もう夕方だよ!まだ夜は冷えるんだから、早く起きて!』

(サク)『ごめんごめん、起きたよ。しかし、よく寝たなぁ。』

(ハル)『サクはねぼすけだね。』

(サク)『ごめんって、よし、また桜餅持ってくるからね。』

(ハル)『うん!!待ってるね!またね!』

(サク)『あぁ、またな。』

 

(サク)-「少しずつ桜が散っていく。御神体の桜も残り少なくなってきた。

春が終わる。そうやって時間は流れて行くんだ。でも、寂しい。

神社に行けずにしばらくがたった。

たまたま見かけたニュースで、強い風が近々吹いて、桜はその風で全部散ってしまうと予報していた。」

(サク)『春が、過ぎて行くんだな……ハル……ハル?……』

(サク)-「なぜかハルの姿が浮かんだ。

どうしてか、ハルがいなくなってしまいそうな、そんな気がした。」

 

 

(ハル)『あ!サク!久しぶりな感じだね!』

(サク)『あぁ、ちょっと忙しくてね。』

(ハル)『春は色々大変だねぇ。

…桜…あと少しで全部散っちゃうね。…もうすぐ夏だね!』

(サク)『なぁ、ハル。夏になったら一緒にどこか行かないか?』

(ハル)『サク?急にどうしたの?そうだねぇ、行きたいね…』

(サク)『ハル、うちに、桜餅あるんだ、だから、また今度こないか?』

(ハル)『…行きたいな……。サク…もう夕方だよ、帰らないと。』

(サク)『あぁ。…ごめんな。急に。』

(ハル)『ううん。桜餅、待ってるね!明日…だっけ。強い風が吹くの…だから。…さい…っ。

お花見!しようね。』

(サク)『あぁ、明日な。』

(サク)-「最後の、と言いかけた気がした。

ハルの顔がとても悲しい顔をするから。

何かに焦りを感じたんだ。」

 

 

 

(ハル)『はじめまして!ぼくはハル!君の名前は?』

(サク)-小さい頃の記憶。夢を見ていた。

(ハル)『あ、これをあげるね!お守りだよ!

……忘れないでね…。』

 

(サク)『ハル!!っ……夢……ハル…。

ハルの所へ行こう。』

(サク)-胸騒ぎがした。あの、夢がどうしても夢に思えなかった。

(サク)『ハル!!ハル!』

(ハル)『サク…遅いよ!桜無くなっちゃうよ!』

(サク)『ハル…ごめん、桜餅…置いてきた。』

(ハル)『えぇ!そんなぁ……』

(サク)『うちで食べないか?たくさん食べれるぞ?な?行こう、ハル。』

(ハル)『……サク……ごめんね…。ぼくは行けない。』

(サク)『…そう…だよな、急にごめんな、また明日にでも……』

(ハル)『違うっ!ぼくは……。ぼくはこの神社から出られない。』

(サク)『え?…何言ってんだよ…。ハル?。どうしたんだよ…』

(ハル)『…サク…お願い……ぼくの事…思い出して……。』

(サク)『……思い出す?』

(ハル)『……昔、小さい頃…サクにお守りをあげた。一緒に桜餅も食べた!…サク…思い出して!』

(サク)『…ハル……何ゆって……お守りって…夢じゃ……』

(ハル)『…夢じゃないよ……サク……。ぼくの名前を思い出して……っ』

 

 

 

(サク)-「風が桜の花弁を舞いあげて吹いた。オレは全て思い出した。」

(サク)『日向(ひなた)…桜(ざくら)…?』

(ハル)『…そう…日向桜……。

ぼくは、春を越せない。夏には生きれないんだ。春が過ぎたらぼくは消える……。

サク……。思い出してくれて…ありがとう…』

(サク)『ハル!!いかないでくれ!!ハル!!』

(ハル)『ぼくはハル。日向ハル。サヨナラだね。サク……ありがとう…。大好きだよ…。』

 

(サク)『…。ずっと…春が嫌いだった…っ。桜が嫌いだったんだ。桜餅も……。君が死んだから!っ…。

でも、思い出したんだ。春が好きだ。

春に咲く桜が……大好きなんだ……っ。』

(ハル)『……お兄ちゃん…夏になっても逢いに来てね。』

(サク)『あぁ。逢いに行くよ。またな。桜餅たくさん持ってくるからな。

……大切な弟…ハル…。』