町田のフリー台本/簪夜帳

フリー台本につき、配信アプリYouTube等ご自由にどうぞ。

掛け合い/満つ月と帳(ミツキトトバリ)

ご使用については下記のリンクからご確認ください。

 

ご使用についての書き置き

https://machidoku.hatenablog.com/entry/2021/06/30/135935

 

フリー台本なので自由に使ってくださいね

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未月(みつき)女 27歳

・明るい人・夜帷とは血の繋がりのない

・夜帷を保護し、2人で暮らす

 

夜帷(とばり)男 11歳

・虐待にあっていた・未月に保護された

・10年以上の虐待により心が不安定

性別変更など自由にどうぞ

 

「」→セリフ

〔〕→ナレーション

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『満つ月と帳(ミツキトトバリ)』

 

(夜帷)〔月が綺麗だと言う

だけど僕は月明かりが綺麗という感情が分からない。〕

 

(未月)〔私の言葉に首を傾げる貴方は、私の知らない世界、どんな世界を見たのだろう。〕

 

(未月)「ねぇねぇ!夜帷!今日は満月だって!お月様が綺麗な日だよ!」

(夜帷)「未月はお月様が好きだね。満月ってそんなに綺麗?僕は分からないや。」

(未月)「綺麗だよ!電気とか人口の明かりにはない、包み込む感じの柔らかい明かりが私は綺麗だなって思うの」

(夜帷)「そっか。柔らかい明かりって綺麗なんだね。知らなかった。」

(未月)「私の名前に月って入ってるでしょ?

私が生まれた時満月だったんだって!

だから、満つ月で未月って名前なの!だから大好き」

(夜帷)「でも、未月のみは、満月の満じゃない。なんで?」

(未月)「未来の未だよ、未来を照らすって意味で未月なの」

(夜帷)「未来を照らす。なんかすごいね

僕は分からないけど、とても素敵な事なんだよね?」

(未月)「そうそう!夜帷もなんとなく分かってきてるね!」

(夜帷)「未月が教えてくれたから、未月の表情とか見てるとなんかいい事なんだなとか、素敵って事なんだろうなって思う」

(未月)「夜帷〜!いい子いい子!!私すっごく嬉しいよ!!」

(夜帷)「未月が喜ぶの僕も嬉しい。

もっとたくさん知らない事知りたい。

未月と一緒に綺麗って思いたい。」

(未月)「これから一緒にたくさん綺麗な物みて、色んなこと知っていこうね。夜帷。」

 

(未月)「初めまして、未月って言うの、よろしくね!」

(夜帷)「……。よろしく。。夜帷って言います」

 

(未月)「それにしても、懐かしいね、夜帷がうちに来た時、ずっとうつむいてたね」

(夜帷)「うつむく?…下向くの癖だったから。ずっとそうしてたから」

(未月)「広い世界みてびっくりしてたもんね!公園行って、カフェ行って、お買い物して、あれ何?って目をまん丸にしてさ」

(夜帷)「見た事ない物たくさん見た。すごい楽しかった。未月が手を引いてくれたから僕は広い世界を知れた。未月が教えてくれた。」

(未月)「夜帷と会えて私も嬉しいよ!持っと色んな所行こうね!ありがとう!夜帷!」

(夜帷)「…ありがとう。ありがとう!未月!」

 

(未月)〔こんな幸せな日々が続くと思っていた。夜帷の事を分かっていたつもりだった。

それは私の思い込みで、夜帷と言う子がどれだけ心に傷を持っているのか分かっていなかった〕

 

(夜帷)「未月、今日帰ってくるの遅いの?」

(未月)「いつもより遅いけど、ほんの少しだよ。直ぐに仕事終わらせて帰ってくるからね!待っててね」

(夜帷)「…そっか。分かった……。」

 

-雷が鳴る-

(未月)「うわーすごい雨降ってきた。

落雷で電車止まってるし。。どうしよう。

夜帷大丈夫かな。。」

 

(未月)「遅くなってごめんね!!ただいま!夜帷?あれ?夜帷ー?」

 

(未月)〔夜帷の返事が無い、外に出た形跡はない、家中を呼んで探した。〕

 

(未月)「夜帷!!なんでクローゼットなんかに。」

(夜帷)「いつもこうしてたから、雷の時とか夜誰もいない時とか、あの時もこうしてた。。

未月帰ってきて良かった。」

(未月)「遅いなってごめんね。ただいま。。

ほんとに。ごめんね。怖かったよね雷」

(夜帷)「ううん。大丈夫。未月が帰ってきてくれたから。大丈夫。」

(未月)「夜帷。あの時って?何があったの?」

(夜帷)「それは、あの。なんでもないよ!雷が落ちた時の事!」

(未月)「そっか。本当に大丈夫なの?隠したりしなくていいんだよ?夜帷。ちゃんと教えて欲しい。」

(夜帷)「……。未月はあの時の事聞いても大丈夫?心配したりとかしない?」

(未月)「大丈夫だよ!知らない方が心配する。」

(夜帷)「分かった。ちゃんと話すね。」

 

(夜帷)〔あの時。雷が鳴ってた日。僕はお母さんと家に居た。

お母さんは家に人が来る時いつも僕をクローゼットや、押し入れ、庭の物置に隠れてって言ってどこかに行く。

男の人の声と、ガラスが割れる音、お母さんのごめんなさいの声が聞こえてた。

あの時は雷が酷くてお母さんの声も男の人の声も聞こえなかったけど、いつもは待たせてごめんねって迎えに来るお母さんが来なかった。

僕は雷がなりやんで、そのまま眠った。

起きたら知らない人達がたくさん居るところにいて、ベットの上に居た。

僕は男の人とお母さんと暮らしてたけど、

体のアザや傷は、男の人がつけた。

ある日からお母さんは僕を隠す様になった。

その代わりにお母さんが傷だらけになった。

そしてあの時、お母さんは帰って来なかった。

大きな箱の中で眠ってた。今は小さい箱の中にいる。〕

 

(夜帷)「これがあの時の事だよ。未月?」

(未月)「…。話してくれてありがとう。夜帷」

(夜帷)「未月泣いてるの?怖い話ちゃった?ごめんね。」

(未月)「大丈夫。大丈夫だよ夜帷。ありがとう。」

 

(未月)〔私は夜帷を抱きしめ、しばらく泣いて居た。

私と同じ過去を小さな子供が背負っていた。

大きな箱は棺。。夜帷が天涯孤独だという事の全貌。お母さんが男の人に殺させたんだ。

男の人は、夜帷のお母さんの腐れ縁の男かもしれないけど、きっと父親だった人だ。

こんな辛い過去を隠そうとしたのは、夜帷の優しさなのだろうと思う。

この日は夜帷と一緒に寝て、次の日は一緒に買い物をした。

夜帷の好きなホットケーキを焼いて一緒にいつも通りの1日を過ごした〕

 

(夜帷)「ホットケーキ!大好き!美味しいね!未月!」

(未月)「今日は特別にホイップクリームたくさん乗せちゃお!」

(夜帷)「お誕生日じゃないのに、ホイップクリーム乗せていいの?」

(未月)「うん!もちろん!たくさん乗せていいよ!」

(夜帷)「僕のお誕生日の時、お母さんがホットケーキにホイップクリーム乗せてくれたの

お誕生日みたい!

あの時食べれなかったから嬉しい!」

(未月)「お誕生日は大きい丸いケーキにしようね!夜帷!」

(夜帷)「大きい丸いケーキ楽しみ

未月のホットケーキ凄く美味しい。ありがとう未月!僕のお母さんのホットケーキみたいで、なんか、なんか凄く美味しい。こういう時なんて言うの?」

(未月)「こういう時か、懐かしいとか、お袋の味かな。」

(夜帷)「懐かしい。おふくろの味!お母さんの料理!」

 

(未月)〔夜帷のお母さんの料理の記憶。

仕事に追われ貧しい中で一緒に居られる時間の記憶。

それは夜帷の誕生日。

ホットケーキとホイップクリーム

夜帷の幸せのひとかけら。

私はこれからも夜帷の幸せのひとかけらを大事にしていこうと決めた。〕

 

(夜帷)〔未月が作るホットケーキはお母さんの味がした。

僕は未月とたくさん色んな所に行って、知らない事をたくさん知った。

未月との時間を大切にしたい。

これからもおかえりなさいって言えます様に。〕